除雪作業のコスト削減と安全性担保の試み

北海道における除雪の課題

冬の北海道では、除雪をしなければ生活が成り立ちません。しかし、自治体の財政難や除雪作業者の減少により除雪が追い付かないことが懸念されています。そのため、より少ないコスト、少ない作業者で効率よく除雪を行う手段が求められています。

除雪コストの低減と人手不足の解消

除雪作業は、除雪車の運転手と誘導員の2名で実施します。誘導員は除雪作業の安全を確保する役割を担っています。
AI、IoT技術を使って誘導員の役割を担うシステムができれば運転手1名で除雪作業が行えます。
弊社では誘導員の役割を担えるリスク予見システムを開発しました。

リスク予見システム

リスク予見システムは「1.移動体認識」、「2.ハザードマップ」および「3.リスク予測・通知」という3つの技術で構成されます(図1)。

図1.リスク予見システムの概略

図1.リスク予見システムの概略

1.移動体認識

電柱に取り付けた遠赤外線カメラで人や車を検知します(図2)。
検知した人や車の座標情報をクラウドサーバへ送ります。
当社が開発した雪道自動運転の技術を応用しました。

図2.遠赤外線カメラで人や車を検知した映像 

図2.遠赤外線カメラで人や車を検知した映像 

2.ハザードマップ

予めリスク情報を設定した地図情報と、移動体認識で検知した人や車の座標情報をクラウドサーバで組み合わせ、シミュレーションモデルを作成します。 シミュレーションモデルの作成には、当社保有技術であるリスクポテンシャルシンセサイザ™を使用しています。

3.リスク予測・通知

シミュレーションモデルを除雪車に設置したAndroid端末で受け取ります。Android端末に付随しているGPS情報から車両位置情報を取得し、それらの情報をシミュレーション画像としてAndroid端末で表示します(図3)。

図3.Android端末で表示されるシミュレーション画像

図3.Android端末で表示されるシミュレーション画像

リスク予見システムの実証実験

リスク予見システムを北海道北広島市の見通しのよくない交差点に設置し、実証実験を行いました。周りが暗く見通しの悪い状況でも、事前にAndroid端末にリスクが表示され(図4)、危険を察知することができるため、除雪車の運転手1名で安全を確保し、除雪作業が行うことが出来ました。

図4. 見通しの悪い交差点付近で、Android端末からの受けるリスク通知

図4. 見通しの悪い交差点付近で、Android端末からの受けるリスク通知

リスク予見システムの今後の展開

リスク予見システムの導入によってより少ないコスト/人員で除雪を行うことが可能となります。自治体におかれましても、除雪にかかるコストを低減させることができ、安全性確保に期待ができるため保険料を低減できるなど、トータルコストの削減が見込めると考えています。

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