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挑戦 社風 技術

SF Twinで、
工場の「安全化」と「効率化」を実現する。

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時代の半歩先に挑んでいる、ヴィッツのプロジェクトを紹介する本連載。第2回目となる今回は、SF Twinを発案し、開発を進めている大西さんに話を聞きました。SF Twinはどのように生まれ、誰のために存在しているのか。「半歩先」に挑む社員の姿をお届けします。

※新時代のデジタルツイン技術、SF Twinとは?
3Dデジタルツイン技術によって現実世界の情報を仮想空間に送り込み、仮想空間内に工場を再現することで、現場の「安全化」と「効率化」を実現するソリューション。AIが仮想空間を使って最適な導線や原料サプライを事前にシミュレーションし、工場内の人、産業用ロボット、モノの流れを最適化します。産業用ロボットに工場内で必要な動きを覚えさせるティーチングも、SF Twinを使えば仮想空間上で簡単に行えるようになります。

2000年入社 新卒 取締役

大西 秀一(おおにし しゅういち)

 

産業用ロボットの

素人の自分だから、

誰にでも使える

ツールが作れた。

 

—SF Twinは、仮想空間上に現実世界の環境を再現するデジタルツイン技術の一環として開発を進めているのでしょうか?

 

大西:

その通りです。SF TwinのSFは、スマートフューチャーの略。「より良い未来を創るためにデジタルツインを活用しよう」という想いをこめてSF Twinと名付けました。

 

—SF Twinを必要としているのはどのような企業ですか?                     

 

大西:

産業用ロボットを導入したくても、なかなか踏み切れない町工場の方々です。町工場の経営者や従業員の方はITに疎い方が多く、ロボットを導入しても使いこなせないのではないかという不安を感じていると聞きました。その課題を解決したいんです。ロボットの導入に慣れていない人でも使いこなせるように、意識して開発を進めています。

 

—SF Twinの強みを教えてください。

 

大西:

2つあります。1つは、誰でも使いやすい仕様になっていること。先ほども言ったように、ターゲットはデジタルに弱い工場の方々。難しい数字が画面一杯に映し出されるようでは使いこなせません。実は、開発者である私たち自身も、産業用ロボットに深く触れたことがありませんでした。だからこそ、「町工場の方々」と同じ視点で使いやすいかどうかを判断できた。結果的に、どなたでも使いやすいツールになっていると思います。

 

—未知の領域に挑戦したことが、逆にアドバンテージになったのですね。2つめの強みは何ですか?

 

大西:

とにかく安いことです。大手IT企業からの支援と、経済産業省からの研究開発投資をいただいているおかげで、他社と比べて10分の1の値段に抑えることができました。コストを抑えることも、大きな資本を持たない町工場に導入していただくために大切なことです。

 

—プロジェクトを進める上で大変なことはありますか。

 

大西:

アドバンテージと表裏一体なのですが、産業用ロボットに対する知識不足ですね。現在、SF Twinの性能をさらに高めるために産業用ロボットを作っている会社と協力して開発を進めています。互いに企業秘密を共有する仲になって初めて知ったことですが、公開されていない産業用ロボットの仕組み、機能は山のようにあるんですね。莫大な情報を整理して、どのように機能に組み込んでいくか試行錯誤しているところです。しかしおかげで、当初に想定していた製品レベルと比べて、品質が大きく向上しました。ありがたいことに、いち早いリリースを求める声も多くいただいており、予想よりも高い需要に「今以上に品質を高めなければ…!」と気を引き締めています。

 

 

 

始まりは、

個人参加のコンテスト。

ヴィッツでは、

社員の挑戦から

事業が生まれます。

 

—そんなSF Twinの開発はどのような経緯でスタートしたのか、背景を教えてください。

 

大西:

取引先の機械商社の方から、DXアクセラレーションプログラムというビジネスコンテストへの参加を勧められたことがきっかけでした。「工場の現場にヴィッツの仮想空間技術を応用したらどうなるか?」、という切り口で企画を立てていったんです。最初は仕事としてではなく、業務外の個人的なチャレンジとしてスタートしたのですが、そこから新しいサービスや事業が生まれてくるのはヴィッツではよくあることです。

 

—コンテストへの応募が、どのようにしてプロジェクトに変わったのでしょうか?

 

大西:

企画書とデモのプログラムを持ち込んだ結果、なんとコンテストで優勝したんです。結果として、大手IT企業と大学の教授から1年間の研究開発支援をいただけることになり、いよいよSF Twinプロジェクトが始動。2020年の10月のことです。

 

—コンテストでは、どのような部分が評価されたのですか?

 

大西:

1つはサービスのターゲットが「デジタルに弱い町工場の方々」と明確だったこと。もう1つは、デモンストレーションの品質が高かったことです。企画を作るにあたって実際に製造業の工場を見学させてもらったのですが、それもデモの品質アップに大きくつながりました。

 

 

 

AIと人間が信頼関係を築き、

共に進化する

未来を作りたい。

 

—SF Twinの未来構想を教えてください。

 

大西:

SF Twinの技術は、さまざまな業界で活用できます。いずれはあらゆる業界で使われるロボットのメーカーと協力したいですね。たとえば、物流倉庫の運搬ロボット。想定外の注文で急に物流量が増えたとき、それに対応するためにロボットのプログラムを組みなおそうとすると、大幅に時間がかかってしまう。SF Twinの技術を使えば、オフラインティーチングで倉庫の稼働を止めることなくプログラムを組み替えられます。将来、一般家庭用の配送ロボットも登場してくると思うので、そこにもSF Twinの技術を組み込み、BtoCまでビジネスの範囲を広げていきたいですね。

 

—お話を聞いていて、SF Twinは製造の常識を大きく変えるものになりそうだと感じました。

 

大西:

価格もかなりインパクトがあるので、産業用ロボットメーカーや商社、あるいは競合ベンダーにとっては、かなりマグニチュードの大きな出来事になるのではないでしょうか。業界に波紋を起こすことができたら、成功かなと考えて取り組んでいます。

 

—ありがとうございました。